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浅倉卓弥


>>> 君の名残を ★★★★★

白石友恵と原口武蔵は幼なじみで、ともに剣道部主将を務める高校生。雨の降りしきる下校途中、二人は忽然と姿を消してしまう。目覚めたそこは平安時代末期、源平争乱前夜の日本だった。
生きるために、どうにかして運命を受け入れようとする二人。それぞれにこの時代で生きていくことを決めた矢先、歴史を知る二人は、過酷な運命を目前に突きつけられることになる――。

あの『平家物語』をベースとして展開する歴史ロマン。フィクションであるのに、まるでこちらが史実であるかのような感覚に襲われる。史実を元にしたフィクションも許せる、というひとにはおすすめ。

とにかく、物語に引き込まれました。一度読みはじめてしまうと、なかなか本を閉じることができない。伏線の貼りかたが絶妙で、話が進むにつれて徐々に「ひとつ」に繋がってゆく。
詳しい内容はあえて割愛します。『平家物語』という題材がどう生かされているのか。現代からタイムスリップした主人公たちが、どのような「役割」を果たすのか……どきどきしながら読み進めていくのが、この作品の醍醐味だと思うので。

『この生涯のすべてを私は愛してきた』

喜びも怒りも、そして哀しみも、そのすべてをひっくるめて自分の人生を「愛しい」と思えるのなら。過去に飛ばされ、戦場に身を置き、義仲と義高をも失って、それでも自分の人生のすべてを愛しいと思えた友恵。読後、物語を振り返った上でこのフレーズを読み返したとき、こみ上げてくるものがありました。――この生涯のすべてを愛してきた、そんなふうに言えたなら、どんなにかすてきなことだろう。

大河ドラマの木曽義仲および巴御前にはあまり共感できず、さほどいいイメージを持っていなかったのですが、この作品を通して大分印象が変わりました。格好いいじゃないか、義仲。




浅田次郎


>>> 月のしずく ★★★★★

七つの物語からなる、人の優しさと愛をテーマにした短編集。

主要登場人物たちの誰もが、大きさこそ違うものの、なにかしらの哀しみを、心の傷を抱いており、ヒトとのふれあいを通じてその痛みを癒そうとする。全体的に切なく、物悲しい雰囲気の物語が多いのですが、過去を過去とし、明日へと踏み出す勇気と希望を約束するラストに大変救われた気持ちになりました。
特筆すべきは、メインキャラクタとして登場する男性たち。誰もが優しく、包容力があって、まるで(少なくともわたし基準では)理想的な男性像を具現化しているかのよう。

一番心に残ったお話は『ピエタ』。
舞台が大好きなローマであり、情景を一つ一つ思い浮かべることができたこともさながら、主人公にどんなに冷たくあしらわれても、包み込むような愛情を注ぎ続けるミスター・リーにホロリときた。

人に対して、心から優しい気持ちになれる一冊。



>>> 鉄道員<ぽっぽや> ★★★.☆☆

表題作含む、全八編の物語から成る短編集。

『鉄道員<ぽっぽや>』はじわじわきました。目頭が熱くなりました。乙松さんの仕事に対する責任感と誇り、そこから生じる不器用さ、深い深い愛情、そして二夜に渡る奇跡……。いとおしいです。
『ラブ・レター』、『ろくでなしのサンタ』も『
月のしずく』に収録されている物語のように、ほっこりと心が温まるものでした。にもかかわらず全体評価として低めなのは、残りの作品にさほど心を打たれなかったため。社会の世知辛さとか、男と女の愛憎とか、やや生々しいテーマを扱ったものが多くて、ところどころで興ざめしてしまった。理想の男性像も女性像もあったものじゃあない。しかし、切り口こそ違うものの、根本においては他作品のように「癒し」や「救い」、「希望」を示唆する作りとなっているので、あとは単純に好みの問題だと思います。

……わたし的には、この作品の大部分に見られる切り口はあまり好きじゃないなあ。




あさのあつこ


>>> バッテリー I〜II ★★★★★

中学入学直前の主人公・巧は、自他ともに認める天才ピッチャー。父の転勤を機に両親のふるさとに戻ってきた巧は、地元の野球チームでキャッチャーを勤めていた少年、豪と出逢う。巧と豪、このバッテリーと、彼らを取り巻く人々の物語。

もともとは児童文学、らしいです。最近は文庫本が発売されていますね。一般文学としても十分通用する内容だと思います。
ストーリーそのものは至って単純なのですが、登場人物がとにかく生き生きとしています。大人びていて、ストイックな巧。大らかな豪。巧の弟で、感性が豊かな青波。その他、個性的な人たち。中学生の視点から描かれた世界は、とても真っ直ぐで曇りがなく、瑞々しい。
全体的にわかりやすい文章で書かれており、とても読みやすい。あっという間に物語に引き込まれてしまいました。おもしろい。ところどころにどき、とするメッセージが込められており、この作品を単なる「児童文学」の域に留まらせない。

2巻から、更に「オレさま」的態度に磨きがかかる巧。傲慢で高慢、自信家で、同時に稚拙。自分の思うように事が進まないと気がすまない。一見「最低」な彼なのに、目が離せない。心が強烈に惹きつけられる。どんなに諭されようとも、どんなに傷つこうとも、彼は自分を曲げない。あくまでも、自分の信念を貫き通す。その強い心をもって、周りの人間を変えていく――。
……非常に魅力的な人物です。ちらりと垣間見える不器用さが、また微笑ましい。時折見せる優しさがいとおしい。

3巻から、いよいよ巧・豪のバッテリーが試合に参加。試合の様子が生き生きと描かれています。そこから読み取れる、多種多様な「野球への情熱」。格好いい。

久々に、ここまでどきどきしました。わくわくしました。少年野球ものは大好きなので、なおさらです。
シリーズものらしいので、今後このバッテリーが、そして彼らを取り巻く人物たちがどのように物語を紡いでいくのかが楽しみ。




新井素子


>>> ふたりのかつみ ★★★☆☆

男まさりの女の子、勝美。女の子に憧れる、ちょっと気弱な男の子、勝美。立場も状況も違うけれど、二人とも、自分を取り巻く環境になじめないでいる。
別々の世界、パラレル・ワールドに住む二人の勝美。ある日、勝美が部屋の襖を蹴破った瞬間、二つの世界が繋がってしまった!そして、二人の対照的な勝美は出会いを果たす……。
お互い、相手の世界が気に入ってしまった「ダブル勝美」は、入れ替わりを試みてみる。異なる世界で、二人が見たもの、感じたものとは……?

発想はなかなかよかったんだけれど、いまいち物語の中に入っていくことができなかった。それもこれも、作者・新井素子が「作者」として堂々と物語の中に介入してくるため。
もとより、新井素子はクセの強い作家であると思います。彼女のような文体を生み出す作家を、わたしは他に知らない。一人称ものではその特性が生かされていて、独特の柔らかい雰囲気を作り出しているのですが、こちら『ふたりのかつみ』では逆効果。作中で、作者に「○○は××なんだよねー」と言われても、反応に困る。このスタイルはあまり好きではない。……まあ、一旦慣れると、あまり気にならなくなりますが。

そして肝心の物語は、まだ「序章」に当たる部分みたいです。二人の勝美を知って、二人の世界を知って、入れ替わった二人の最初のエピソードを知る。そんな感じ。勝美(女)は男として思いっきり野球をやり、勝美(男)は大好きな手芸に勤しむ。
勝美(女)はともかく、勝美(男)は終盤、少し成長します。違う世界にいるからこそ、見えてくるものがあった。弱虫勝美(男)は、女の子として振舞った勝美(女)の世界で、少し男らしくなる……。彼に初めてお友達ができるシーンが、今作品一番の見所かなあ。

「児童文学」の範囲に留めておくなら問題ないだろうけれど、そうでないのなら少し物足りない。続きものになる、とあとがきには書かれていたけれど、15年経った今でも続編はまだ出ていないようです。二人の行く末がなんとも気になるところ。



>>> 扉を開けて ★★★.☆☆

ネリューラ。扉を開けるもの。主人公・根岸美弥子は、夢の中でそう呼ばれていた。その夢は、美弥子と隣人の杳、そして同じゼミの桂一郎が彼女の部屋で居合わせたときに現実となる。異世界・中の国に飛ばされた美弥子を待っていたのは、伝説の女王・ネリューラとしての使命だった――。

新井素子、初期作品の新装版。イラストを手がけたのは『ハチミツとクローバー』の羽海野チカ。ちょうど『ハチクロ』にハマっていたこともあって、決め手は表紙でした。
本文は、スケールの大きいファンタジー小説。あっという間に本の世界に引き込まれました。でも同時に、そのスケールの大きさが逆に仇ともなっているような気もします。まず、序盤〜中盤までの展開はダイナミックであるのに対して、終盤にかけては勢いが少なくなっていったのが残念。
中の国を取り巻く国々の今後の情勢、「明日」を恐れる森の住民、不思議な力を持つ主人公たちの抱えるトラウマなどは非常に気になるところなのに、断片的にしか描かれていない。それはまるで「歴史の断片」のよう。これが続きものであるとすれば十分に納得できますが、残念ながらそうではない。物語を展開させる要素を数多く秘めているだけに、少しもったいない気がします。

後ほど登場する隣国の姫、ラ・ミディン・ディミダが可愛い。

新井素子の文体は、一人称が一番読みやすいと思います。口語文体が生かされている。
でも、独特のスタイルが引っかかることもしばしば。「はい」「え?」を逐一「あん?」「はん」「ははん」に置き換えているのですが、際立っているがために気になって仕方がない。わたしが細かすぎるんだろうか。




池内紀


>>> ゲーテさんこんばんは ★★★★☆

『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』等で知られるJ.W.ゲーテの「人となり」について語る一冊。

その著名さゆえに、わたしたちは一般的に、ゲーテおよび彼の作品については堅苦しく考えがちだと思います。本書は、「生身のゲーテ」がどのような人物であったのかを、小気味よいユーモアも交えつつ読者に紹介しています。
実は鉱石が大好きだった、とか。一時期錬金術にはまっていた時期がある、とか。女のひととの関係が進展しそうになったとき、決まって外国に逃亡した、とか。お酒も大好き、好奇心旺盛。彼の作品が誕生したエピソードなども見られます。

ゲーテというひとに、彼の作品に対して持っていたイメージが多少なりとも変わるきっかけを与えてくれると思います。遠い存在だったゲーテが、ほんのちょっとでも身近に感じられるようになることでしょう!



>>> となりのカフカ ★★★★☆

フランツ・カフカの入門書。

カフカ作品は『変身』『審判』の概要を知っている程度ですが、これまで「なんだかよくわからない話」でしかありませんでした。そのせいか、これまでカフカ作品を避ける傾向にありました。
本書はカフカの人となり、そのバックグラウンドや作品が生まれる過程などを紹介しています。『ゲーテさんこんばんは』同様に、作者との距離がぐぐっと縮まる一冊。意外にも恋愛体質だったカフカ、保険会社で働きながらもせっせと執筆業に取り掛かっていたカフカ。機械マニアな一面も持っていたカフカ。そこにいるのは、まぎれもない生身の人間です。

改めて、カフカ作品を読んでみようかなあ、と思わされました。




石田衣良


>>> 娼年 ★★★.☆☆

なにもかもが退屈。大学を休みがちなリョウは、バーテンのアルバイトをしながら淡々とした日々を送っていた。そんな彼の日常は、ホストの友人が連れてきた女性・御堂静香との出会いによって劇的に変化する。彼女の経営するボーイズクラブで「娼夫」として働くことになったリョウは「仕事」を、女性との接触を通して、愛や欲望の持つ不思議さに魅せられてゆく……。

タイトルからある程度予測できますが、物語の半分以上がセックス・シーンによって成り立っている作品。意外なことに、これといった抵抗も拒絶反応もなくすんなりと読めた。いやらしさも感じられない。それどころか、一種の静けさ、穏やかささえ感じる。
快楽に溺れることなく、ただ純粋にヒトの欲望の行き着く先を見届けたいと願うリョウ。彼の目を通して行われる、ヒトの愛と欲望のありかたに関する分析がとても興味深かった。いろんなヒトがいる。ヒトの愛にはいろんな形がある。欲望にもいろんな形がある。……それは、ある種の神秘。
本の印象は大変強く心に残ったのですが、全体的な内容のほうはややイマイチ。リョウが御堂静香に自分の想いを伝えるシーンで明らかになる、彼女の秘密。そして、リョウの母親にまつわる事実。クライマックス間際の「種明かし」で、急に物語が失速したように感じました。現実と非現実の間に落とされた一滴のリアリティ。そして、やや都合がよすぎる感がいなめないラスト。……どうにもマイルドです。今までにない斬新な感覚を与えてくれた一冊なので、ちょっと物足りなくて残念。

だけど。
いいとか悪いとか、リアルであるかそうでないかとか――そういった基準から遥か遠いところにこの物語はある。そう思いました。




市川拓司


>>> いま、会いにゆきます ★★★★★

亡くなったはず妻が、ある雨の日に記憶をなくした「幽霊」として父子の前に還ってくるところから始まる物語。

「小説」というよりも、「絵本」という印象が強かった作品。
全編を包み込む、優しい空気。主人公の視点で綴られる文章はとてもシンプルで飾り気がなく、それゆえにすっと心に染み込んでいく。読んで、想像して、その上で共感できました。とても素直な物語です。考えさせられる、というよりは、こんな恋をしたいなあ、と思えるお話。読み応えのある本をたくさん読み込んでいるヒトにとっては少し物足りないかも。

今はやりの「純愛路線」に乗っているといえばそれまでだけれど、わたしはこの作品が単なる「恋愛物語」ではなく「恋愛ファンタジー」であることに魅力を感じました。絵本的な雰囲気が好きなのも関係していると思います。



>>> 弘海 息子が海に還る朝 ★★★☆☆

身体が少し弱い小学生・弘海は平凡な小学生。そんな彼がある日を境に水の中を好むようになる。水への順応性は非常に高く、たとえ具合が悪くなっても水中にさえいればその症状は緩和されるほどだ。
薬も利かない、医者も対処のしようがない。ある日、父は息子のような症状を示す子どもが世界中にいることを知る……。

まずタイトルに惹かれました。また、心を揺さぶるような話であるのか――。そんな期待を胸に、この作品を手に取りました。
柔らかいタッチの文章は今も健在。家族の、特に父親の息子への溢れんばかりの愛が、綴られています。けれどストーリーそのものにはそれほど起伏がなく、言ってしまえばやや単調。最初から最後まで淡々とした語り口で物語が進められるため、途中で飽きがきてしまったのが正直なところ。雰囲気が『いま、会いにゆきます』に似ているように感じられた。意外性を狙ったのか、両義的と取れる要素がところどころに散りばめられていますが、それが逆に過剰な期待を引き出してしまったように思う。「あれだけ引っ張っといてこれだけ?」というのが読み終わったあとの印象。

どきどき感も、わくわく感もなかった。心に訴えてくるものも、特にない。「癒し」と「愛」だけが、そこにある。最初の1ページからラストまで、「安堵」して読むことはできます。言い換えると、「冒険」はこの本には望めない。……市川拓司好きなら楽しく読める本かもしれません。題材が面白そうであるだけに残念。

『涙よりは笑顔を、溜息よりは歌声を』――この作品で、一番好きなフレーズ。



>>> 恋愛寫眞 もうひとつの物語 ★★★★☆

その体質ゆえに、人と距離を取るようにして生きてきた誠人。幼さを色濃く残した静流。綺麗で万人に好かれるみゆき。三人の大学生を中心として紡がれる物語。

同名の映画に捧げるオマージュ。しかし映画を見なくても十分に楽しめる作りになっています。
誠人はみゆきが好き。静流は誠人が好き。そして、みゆきと静流は友達――穏やかな三角関係を軸に、話は進む。みゆきに恋していた誠人が、少しずつ静流への想いを深めていく過程が丁寧に描かれている。主人公がちょっとしたハンディキャップを背負っている、悪役らしい悪役が登場しない、優しい余韻を残す切なさを含む……といった、「市川らしさ」が前面に出ている。ファンタジックな要素もしっかり健在していて、今回は静流の「恋をすると、命と引き換えに成長する病」がそれに相当する。とはいえ、その謎が解明されるのはクライマックス。なんとなく予感はしていたものの、その意外な結末に驚かされました。

とても切なく、優しい物語です。
物語の大部分は、よくも悪くも「ありふれた恋愛物語」という印象が強かったです。でも、だからこそラストがあんなにも美しいのではないかと思います。
「他の誰でもない、自分に生まれることができて、嬉しい」――そんな風に言えるほど誰かを愛せたなら、どんなにか素晴らしいだろう。



>>> そのときは彼によろしく ★★★.☆☆

主人公・祐司・花梨の幼い日の友情、そして彼らの15年後の姿を描いた作品。
柔らかい雰囲気、あたたかみ。市川拓司の作品に見られる要素(ハンディキャップ、純愛、ヒトとヒトのつながり、奇跡)が生きているお話です。当時はそこそこ楽しみながら読んでいたような気がするのですが、半年ほど間を置いて思い返してみると、あまり内容が残っていないのが現実。「心に残る一冊」にはなりえなかったようです。『恋愛寫眞』のほうが好きかなあ。

中盤〜終盤にかけてのストーリーの運びかたはテンポもよくて、早く先を読みたいという気持ちにさせたけれど、クライマックスがちょっと物足りなかった。よくも悪くも「市川拓司だな」と納得できてしまう。彼の作品を読むのはこれで四度目。パターンがつかめてきたこともあって、食指が動かなくなってきたかなあ、というのが正直なところ。ファンは間違いなく楽しめるはず。

書き留めておいた、好きなフレーズ。

『でもね、悲しい思いをするっていうのもその人に与えられた人生の一部だから。それがあって人生のパズルはすべてが埋まるんだよ』

彼の作品の中に、わたしの心に残るフレーズが存在するのもまた、事実。




猪浦道夫


>>> 語学で身を立てる ★★★★☆

読んで字の如し。翻訳・通訳・語学教師といった、「語学で身を立てる」職業に就きたいひとのためのQ&A本。

親愛なる同志に借りた一冊。「語学で身を立てる」方法を模索しているわたしにとって、大変ありがたい「参考書」となりました。「語学のプロ」となるために求められる素質や現在の語学市場、今すべきことなどが詳細に書かれていて、この道に進みたいと考えているひとにはオススメ。指標のひとつになるかと思います。

問題(?)は、著者がありえないほど「スゴイひと」であること。20ヶ国語(!)を多かれ少なかれ獲得した著者の体験談は大変興味深いのですが、あまり参考にはなりません。もはや神の領域です。欲を言えば、地道に、無理のないレベルで勉強するケースについてもう一例ほしかったところ。




R.J. ウォラー


>>> マディソン群の橋 ★★★★★

たった四日間だけの不倫。そこから生まれた永遠の愛。
家族の留守中、農家の嫁フランチェスカは偶然出逢った写真家ロバートと劇的な恋におちる。

伯母さんから譲り受けた本。「以前橋が燃えていた」ことを思い出して、手に取ってみました。
これまでに読んだどんな不倫ものよりも美しい物語だった。「赦されぬ愛」がここまで綺麗に、切なく、そしてなによりも純粋なものとして描かれる作品は他に知りません。
不倫というよりは、「既婚しているヒトがパートナー以外のヒトに恋をした」という印象を受けました。両者はとてもよく似ているけれど、必ずしもイコールではないと思う。

「不倫」という言葉について、あれこれ考えさせられました。
「不倫」とは、どこからが「不倫」でどこまでが「不倫」なのか。「愛」とはなにか。ヒトを愛することは、どういうことか。自分のパートナー以外のヒトを愛してしまったら、それは問答無用で「不倫」になってしまうのか。

現在、わたしたちの一般的な認識における「不倫」を肯定するつもりはありません。ただ、こんなカタチの愛もあるのだと思うのです。



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